「既存不適格」マンション

現在の法律では違法になる建物「既存不適格」という言葉をご存じでしょうか。

これは中古マンションなどの建築物が、現在の建築基準法に適合していない場合があります。昔は法的な規制がなかったため、今なら違法になるような建築物が、普通に建てられていました。とくに昭和以前は、建ぺい率や容積率の規定もありませんでしたので、広さや容積を制限されることなく、わりと自由に建物が建てられていました。これらの中古マンションなどの建物が、「既存不適格」と言われるようになったのです。建てられたときは違法ではなかったものの、今、その同じ土地に同じ規模の建物を新しく建てれば、違法になってしまうわけです。既存不適格の建物を壊して建て替えるとなると、規模を縮小せざるをえません。ここで問題が起きてきます

中古マンションの建て替えでは、公団住宅に見られるように、広い敷地を生かして今より多くの戸数を建て、余分に作った部屋を分譲することで、住人が負担する建設費を減らすのが一般的です。ところが、「既存不適格」の中古マンションだと、それまでより小規模の建物しか建てられないため、同じことができません。それどころか、次のようなことになります。

  1. 各戸の専有面積を減らさなければならない
  2. 各戸の専有面積を維持する場合は、戸数を減らさなければならない
  3. 建て替え後に住めない人にはお金で補償しなければならない
  4. 建て替えの費用が高くなり、なかなかまとまらない

こうなると建物が古くなっても、なかなか建て替えには至らず、放置されることになるのです。

建て替えがむずかしくなってしまう

日本の中古マンションの耐用年数は、国土交通省の統計では判年弱ですから、外壁や上下水道管などの大規模の修繕を繰り返しても、せいぜいあと数年しかもたないでしょう。もちろん、それよりも長く住めないことはありません。大規模修繕によっては若干の延命は可能だし、中古マンションの強化の技術がゼネコンでできつつあるからです。ただし、耐周年数ギリギリになってから売却を考えるのであれば、資産価値はほとんどないと思ったほうがいいでしょう。「土地があるじゃないか」と考える方もいるでしょうが、中古マンションの土地の所有権や敷地権は、あくまで全体の中での持ち分なので、個々に売買できるものではありません。こうした事情を踏まえたうえで、既存不適格の物件でもいいから買いたいという人にとっては、その分価格が安く設定されていることが多いのでラッキーかもしれません。しかし、資産価値の下落は避けられないので、将来のことを考えれば手を出さないのが賢明だと言えます。